しーくれっとハムのひとりごと

ROM専が時折もらす独り言です。

てぶくろはどこ

吉原理恵子著「間の楔」は発表から30年以上を経ても、尚も読者を魅了する名作。

※年号にすると 昭和→平成→令和に至り、改めて感じる凄み。

 

色々ありまして、初心に帰ろう(笑)と「間の楔」(単行本版)を読み直してみました。そこで気づいたことの一つを書きました。

手袋はどこ?

先ず単行本版ではミダスでクルージング(要はスリ)するリキがイアソンに捕まる場面、続く連れ込み館での弄び(笑)の場面でもイアソンの手袋について全く描写がありません。館を出る際もイアソンは

"イアソンが振り向きもせずに出ていく(中略)"

吉原理恵子著「間の楔」(光風社出版)P79より抜粋

だけです。なのでゴミ箱云々(笑)の下りはありません。

次に加筆修正された文庫本版ではクルージングの場面は同様ですが、続く連れ込み館では

"しかも。シルクのような手触りのする手袋をはめたままで。"

吉原理恵子著「間の楔1」(Chara文庫・徳間書店)P218より抜粋

と当初からイアソンが手袋を嵌めていたことがはっきりと描かれています。このイアソンを象徴するアイテムが最初の「間の楔」では全く描かれていないことに今更ながら驚きました。長らく文庫本版から考察(妄想)していた為に、かつて読んだ単行本版に関心が向かず、違いに気づきませんでした。

(T0T)

また、OVA旧版(前編)も私がイメージギャップを引き起こした原因かもしれません。特に鮮烈だったのがイアソンがリキの部屋に乗り込んだ場面です。イアソンがゆっくりと手袋を外すとリキのペットリングの操作する指輪が現れ、それを凝視するリキの瞳に浮かぶ恐怖と絶望、そして僅かな快楽への期待。その描写の巧みさ!!!

(//∀//)キャー!!

因みに連れ込み宿の場面でもイアソンは手袋を嵌めたままリキの両手首を掴んでいます(但しその後の描写は無し)。

 

イアソンが手袋を嵌めて登場するのは単行本版の番外編

間の楔-異聞 ミッドナイト・イリュージョン」

からです。ラストの場面(エオスでの調●)で

"いつものように、手袋越しに顎をつかまれて(中略)"

吉原理恵子著「間の楔-異聞 ミッドナイト・イリュージョン」(光風社出版)P233より抜粋

"そのとき、初めて、リキは気付いた。イアソンが手袋をしていないことに。"

吉原理恵子著「間の楔-異聞 ミッドナイト・イリュージョン」(光風社出版)P237より抜粋

とあります。

間の楔」が初めて世に出た1980年代には存在しなかったイアソンの手袋。1990年代に番外編&OVA(旧版)で登場し、それが2000年代の加筆修正版に踏襲された形です。

私はこのアイテム登場は、かつてはリキのように”荒削り”だった「間の楔」が次第に洗練されていく過程のように感じました。

注)単行本版のイアソンが素手という意味ではありません。あくまで手袋の有無の具体的描写が無いだけです。

 

<あとがき>

先ず上記は全て私の個人的見解です。正確性は担保されませんので、あしからず。

次に記事で引用した「間の楔」単行本版が発行されたのは1990年代ですが、内容は1980年代に雑誌連載された6回シリーズが書籍化されたものです。一部は加筆修正されていますが、ほぼ同一内容です。

最後に記事のキッカケは、ずばり別記事を書こうとして行き詰ったからです。

(T_T)

①カッツェ&ラウール

②カッツェ

③カッツェ&リキ

···③の時点で完全に詰みました。

(TдT) ウゥ…

その為、初心に帰り「間の楔」にイチから向き合おうと(笑)単行本版を読み返したことが記事に繋がりました。ただ手袋が登場しないことに気づいた時は驚くと同時に自身の読み込みの浅さを突き付けられた気がして本気で落ち込みました。

(´・ω・`)ショボーン

 

〈追記〉

”かつてはリキのように”荒削り”だった「間の楔」が次第に洗練されていく過程"

・・・実はこれについて私自身が何と云うか、その是非というか功罪というか、単行本版と文庫本版を読み比べて思うことが幾つもあります。現時点では到底無理ですが、いつか記事にしたいです。

なので!!今はひたすら「間の楔」読み込む、それだけです。

ガ٩( 'ω' )وン٩( 'ω' )وバ٩( 'ω' )وル٩( 'ω' )وゾ‼‼